2013/12/11
ワタミ裁判記者会見

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POSSE vol.20


12月9日、ワタミフードサービスに入社してからわずか2ヶ月で過労自殺に追い込まれた女性の遺族がワタミの責任を問う裁判の申し入れをおこない、併せて記者会見が開かれました。本記事ではその記者会見の様子を紹介します。


まず、訴訟に至るまでの経緯の説明がありました。女性がなくなったのち、遺族が死亡理由や働いていた環境の説明をワタミ側に求めましたが、代理人を立てるのみで、経営者との直接の話し合いには応じませんでした。


その後、神奈川県労働者災害補償保険審査官が業務災害と認定し、マスコミが この事件を報じると今度は ワタミ側から被害者に対して 異例の民事調停を申し入れました 。 そこでワタミ側が交渉事項として掲げていたのは損害賠償の支払い額のみで、遺族側が労働の実態や過労自殺の原因を質問してもわからないと答えるのみでした。そのまま話し合いを続けていてもらちが明かないため、訴訟に踏み切ることになります。


今回の裁判では、今までの過労死裁判であまりおこなわれてこなかった、懲罰的慰謝料の請求が含められています。これは「悪質な安全配慮義務違反」、「過酷な労働実態を考慮」したもので、また、当時の経営者であった渡邉美樹氏 ら3名の役員も被告としており、ワタミの労務体制は渡邉氏の経営理念によるところが大きく、渡邉氏の言動には安全・健康に対する配慮が見られない安全配慮義務違反が あったことを指摘しています。


記者会見中、遺族の方は提訴にあたって、「若い人を使いつぶすのではなく育てていくような会社になってほしい」、「入社した時は過重労働の被害者でも、その中で働き続けることで次第に過重労働を強いる加害者になっていき、自分の働き方を自分で考えられなくなっていることをよく考えてほしい」、「ワタミの実態を明らかにすることで、他の会社も反省し、社会全体的に労働環境がよくなってほしい」と述べていました。


ワタミの労働環境の実態については、『POSSE』20号で「アルバイトからみたワタミ」「連載 ブラック企業のリアル(ワタミの介護)」を取り上げております。ぜひご参照ください。



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POSSEとは

『POSSE』は日本で唯一の若者による労働問題総合誌として、2008年9月に創刊しました。NPO法人POSSEのスタッフが中心となり制作し、これまで21巻を出版、5年目を迎えました。労働・貧困問題をテーマに、現状、政策から文化までを論じています。

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