2012/12/26
小熊英二さんトークイベント「2012年、日本の政治は変わったのか?脱原発・ブラック企業と社会運動」を開催しました

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小熊英二さんトークイベント

『POSSE』雑誌編集部では、12月22日(土)に渋谷のこどもの城にて、創刊4周年記念のトークイベント「2012年、日本の政治は変わったのか?脱原発・ブラック企業と社会運動」を開催しました。参加者は中高年の方や学生のような若い方もお越しくださり、当日は天候も悪い日ではありましたが、会場の席もすべて埋まるほど、盛況なイベントとなりました。


今回のイベントは3部構成でおこない、最初は今年大反響の『社会を変えるには』を出版された、慶應義塾大学教授の小熊英二さんを講師としてお招きし、先日おこなわれた衆院選の分析やこれまでの政治の流れ、そしてこれからの政治・社会の展望等々を語って頂きました。私が特にそのなかでも印象的だったのが、日本の法律は「わざとあいまいに作られている」といった点(このことは明治期の文献にも残っているとか)で、これはこのあとのPOSSE代表の今野の話でもありましたが、ブラック企業の問題と通底することであり、あいまいさが生活保護の水際作戦やブラック企業の逃げ道なっているということは、あらためてシステム全体をつくり変えなければいけないという、大変根深い問題だと痛感しました。


次に、『ブラック企業』を出版し、様々なメディアに取り挙げられているPOSSE代表の今野の話です。今野がブラック企業問題で一番の論点にしたいのは、この問題は個人の労働問題として捉えるのではなく、「社会問題としてのブラック企業」という位置づけにしたいということでした。ブラック企業は、選別、使い捨て、パワハラをおこない、これらが要因となってうつという精神疾患になった労働者を「その企業」ではなく「国の社会保障費」として賄うことこそが問題だ、ということです。こういったことをどうすれば解決していけるのかが、最後の対談の論点に挙げられていました。


その最後の対談ですが、主に小熊さんが問題提起して、今野さんがそれに答えていくという形式で行われました。ここでの印象的な話を挙げておきますと、非正規社員を正社員にすればいいという話では、ブラック企業にでもいれておけばいいという話になってしまう。そうではなくて、社会保障、働き方といったシステム全体で論じていかなければいけないということです。


苦しんでいる方も多く、ブラック企業問題は解決していかなければいけない直近の問題なのだなと、身の引き締まる思いをしました。こうした問題に対して、脱原発のテーマも含め、世論や言説の与える大変影響力を考えさせられたトークイベントとなり、改めて今後につなげていかなければいけない4周年という節目となりました。



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