事業場外みなし労働時間制

Q.製造業で外回りの営業職として働いています。「事業場外みなし労働時間制度」が適用されているため、基本給20万円に加えて、どれだけ残業しても3万円の営業手当しか払われません。毎朝会社で上司とその日の予定を確認し、外回り中も携帯電話やメールで上司と連絡を取っています。会社は私の労働時間を把握できていると思うのですが、残業代は払われないのでしょうか?

A.おっしゃるとおり、会社は労働時間を把握できているため、「事業場外みなし労働時間制度」を適用するのは困難です。そのため、未払い残業代を請求できます。

事業場外みなし労働時間制とは

労働者が事業場外で労働し、使用者がその労働時間を把握できない外勤の営業職等の場合に、原則として所定労働時間労働したものとみなす制度です(労基法38条の2)。

所定労働時間を超えて事業場外で労働することが必要となる場合には、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(労使協定がある場合は協定で定めた時間)労働したものとみなします。みなし時間が法定労働時間を超える場合には、所轄の労働基準監督署に届け出を行う必要があります。

合法・違法の判断基準はどこか
事業場外における労働であっても、使用者が実労働時間を把握・算定できるのであれば、事業場外みなし労働時間制の適用はありません。たとえば、複数の労働者が事業場外労働を行う場合でその中に労働時間を管理する者がいる場合、事業場外における業務の具体的指示を受けて帰社する場合など、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合には、労働時間の管理が可能ですので、みなし労働時間制は適用されません。

裁判上も違法なケースがほとんど
現代においては通信技術が発達したことで、事業場外にいる労働者についても、携帯電話やメール・SNSを使って労働時間を把握・管理し、業務指示を与えることが容易になりました。そのため、使用者が労働者の労働時間を管理することができず、みなし労働時間制が適用される場合というのは非常に限られています。また裁判例では、みなし労働時間制の適用を否定するものが大半となっています。

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