労働トラブルにあった際、どこに相談すればいいのか。また、解決するためにはどうしたらいいのか。ここでは、主な相談機関とその特徴を紹介します。
個人で会社と争う際に利用する方法として、行政によるあっせんを利用する方法があります。「個別労働関係紛争処理制度」という制度で、労働者と会社との紛争に関して都道府県労働局や紛争調停委員会が助言または指導を行うことによって、解決を促すものです。
各都道府県労働局に総合労働相談コーナーという窓口があり、そこでトラブル内容を相談します。争う側が労働法などを知らない場合が多いため、まず行政側からは様々な法律の情報提供がなされます。それで相談者が納得した場合はその相談は終了します。納得がいかない場合は地方労働委員会などの適切な窓口への紹介を行います。また、紛争当事者から要望があった場合、紛争調整委員会というところにあっせんを依頼します。この委員会は学識経験者で組織されれ、紛争当事者双方の主張をまとめ、紛争解決のための助言を行います。
ただ、行政によるあっせんは、あくまで「労使間の紛争の解決を促す」という目的で行われます。つまり、争うのは個人であり、行政による強制力は発生しません。
賃金の未払い、有給休暇が取れないといった労働基準法違反を是正させたい場合に利用することができます。例えば、残業代が払われておらずその残業代を会社に支払わせたいときには、労働基準監督署に行けば会社に対して支払いを命じ、支払わせることできます。このように労働基準監督署は労働基準法違反をした会社を実効的に取り締まることができます。実際に労基署を活用する際には4つのことをしておくことが重要です。
1、まず、自分の勤務先を管轄している労基署をHPで調べましょう。
2、証拠を集めておきましょう。
タイムカードや給与明細などの証拠を集めておいたほうがきちんと取り締まってくれます。
3、請求行為を自分で行いましょう。
証拠をそろえて労基署に行っても自分で請求しましたかといわれることが多いです。そこで、内容証明郵便などを使って自分で会社に請求したことを示しましょう。
4、相談ではなく、申告に来たと言いましょう。
労基署のなかには相談コーナーもありますが労働基準監督官は動いてくれません。相談ではなく申告に来たと言いましょう。「申告」には情報提供・顕名申告・匿名申告があります。会社にも労基署にも名前を明かさない「情報提供」は調査自体が難しく解決には結びつきにくいです。「匿名申告」の場合は名前を伝える必要がありますが、労基槽が通用の立ち入り検査のふりをして会社を調査するため、個人情報は会社に伝わりません。ただ、会社が申告に気づくこともあるうるので匿名申告の場合にも会社と向き合う覚悟をしておいた方がいいですし、覚悟が強ければ「 顕名申告」をして迅速に調査することができ、証拠を隠したりねつ造する時間を会社に与えないようにできます。
ただし、労働基準監督署は労働基準法を違反している場合のみでしか取り締まれないので、それ以外の法律で定められていることについては取り締まることができません。
まず、ユニオンとは労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、経済的地位の向上を図ることを目的として組織する団体またはその連合団体のことを指します。不当な解雇、労働条件の一方的な引き下げなど会社が契約を破ってきた際にユニオンを利用することが法律上非常に有効です。
ユニオンには団体交渉権があり、会社は正当な理由なく団体交渉の申し入れを拒否することができません。仮に会社が交渉に応じなければ、それは違法行為となり会社は行政から是正指導を受けることになります。個人で会社と争う場合とは違って、ユニオンとして争う場合には会社が交渉を無視することは許されません。
また、他の相談機関とは違い職場環境の改善をすることも可能です。団体交渉で決まった内容を文章にしたものが労働協約と呼ばれます。労働協約で決まった労働条件などと、労働契約や就業規則の内容に差異があった場合には、労働協約の内容が優先されます。
このようにユニオンは法律で守られ、非常に強い交渉権を持っており高い解決能力を持っています。
職場に労働組合がない場合でも、どんな職業でも、1人から加入できる個人加盟ユニオンやコミュニティユニオンなどが利用できます。
会社との間でトラブルがあった場合には裁判により解決することが可能です。ただ、法律で定められている範囲でのみ解決するのでパワハラなど法律的に規制されていないものに関しては争うことができません。また、裁判に非常に長い時間がかかり、弁護士を雇ううなど高額な費用が必要となります。ただ、セクハラなどの個人のプライバシーに関わる問題を書いてつする際には有効になります。
労働審判制度とは使用者と労働者との間の労働に関するトラブルを迅速、適切かつ実効的に解決することを目的とした裁判です。この制度では労使双方の主張に基づき、労働審判委員会が争点の整理や証拠調べ、簡易尋問などを行います。それにより調停の試みがなされ、調停が成立しない場合には労働審判委員会の判断である「労働審判」が出せれます。
通常の民事裁判に比べて短期間で決着します。原則として3回以内の期日で審理を終えることになっており、申し立てから3カ月程度で審理が終わります
また、労働現場の実態に精通した労使選出の労働審判員が審理を行うため、実情に即した適切な紛争解決ができます。