奨学金Q&A

Q1.ブラックリスト化ってなに?

JASSOは、3ヶ月以上返還を延滞している人の情報を、個人信用情報機関に登録するとしています(いわゆる「ブラックリスト化」)。本人の個人情報としては、氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先などが登録されます。また、貸与額や延滞状況などの奨学金変換に関する情報も合わせて登録されます。

ブラックリストに登録されてしまうと、クレジットカードが発行されなかったり、住宅などの各種ローンが組めなくなったりします。また、登録された情報は、奨学金の返済が完了した後も5年間は保存されることになっています。

ブラックリスト化は、2008年6月に取りまとめられた報告書の中で、「多重債務化への移行を防止することは、教育的な観点から極めて有意義」として、導入が決定されました。そして、そもそも奨学金の貸与を受けるためには、延滞時にブラックリストに情報が載ることを認める文書「個人信用情報の取扱いに関する同意条項」への同意が必要になりました。2014年3月時点で、3ヶ月以上延滞している人は187,000人いることが確認されており、ブラックリストに情報が載っていると考えられます。

参考HP
日本学生支援機構「個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録」

Q2.延滞するとどうなるの?

奨学金を延滞すると、

①年率5%の割合で延滞金が課せられます(2014年4月以前に発生する賦課率は年10%です)

②本人、連帯保証人、保証人に対して、文書および電話で督促が行われます。電話での督促は、JASSOおよび債権回収会社が行い、本人の勤務先に連絡が行くこともあります。

③長期間延滞した場合には、返還未済額の全部、利息および延滞金の一括返還の請求が行われ、支払督促(民事訴訟)に移行する旨の通知が届きます。

④それでも支払いが行われない場合は、裁判所に支払督促の申し立てが行われ、最終的には強制執行の手続きが採られます。

⑤合わせて、Q1で触れたように個人情報信用機関に個人情報が登録されます。

申請すれば猶予が認められる人であっても、必要な手続きを取らないと「延滞」していることになり、上記の措置がとられることになってしまいます。支払督促以降の手続きにかかった費用は、返済者(奨学金を借りた本人)の負担になり、通常通りに返済するよりもさらに負担額が多くなってしまいます。

なお、2014年4月に様々な制度変更が行われました。返還の猶予が可能な年数が通算10年(2014年4月までは通算5年)になり、これまでは認められていなかった現時点で延滞している人に対しても返還猶予を過去に遡って適用する措置がとられるようになっています。

返済猶予や延滞金の減免など、使える制度もありますので、困ったら、まずお気軽にご相談ください(相談はこちらから)。

参考HP
日本学生支援機構
「延滞した場合」
「奨学金制度の変更」

Q3.延滞者はどれだけいるの? どうして返せていないの?

JASSOが実施した調査では、2014年3月時点で、342万4,000人が奨学金を返済しており、そのうちの18万7000人は3ヶ月以上返済が滞っているということが明らかになっています。割合としては、第一種で全体の4.5%、第二種で全体の3.9%の人が、3ヶ月以上返済できていません。

また、延滞者の経済状況の把握を目指した調査では、常勤社員の割合は無延滞者では67.9%のところ、延滞者では36.2%と半減しており、無職・失業中/休職中が15.8%と延滞者の約1/6を占めています。

延滞者のうち、15.1%は収入が1円もなく、19.3%は年収100万円未満だと調査に回答しています。また、年収200万円未満と回答した人も全体の24.0%と、合わせて58.4%に上っています。

主な延滞理由の内容は「本人の低所得」、「親の経済困難」、「本人の失業・無職」など経済的理由が高い傾向にあります。これらデータから分かるように、奨学金を返さない人の大多数が経済的に困難であることがわかります。

また、年収300万円以下という数字はJASSOが行っている返還期限猶予の対象者にあたります。この制度は返還困難な場合に返還期限が猶予されるという制度です。返還が困難とされる事由には「経済困難」があり、「経済困難」として認められるのは年間収入金額が300万円以下の場合です。つまり、延滞者の中の大多数がJASSOの認める返還困難な収入なのです。

Q4.返還猶予をするにはどうすれば良いの?

JASSOが行っている奨学金には返還期限の猶予制度があります。この制度は、奨学金を返還している本人がJASSOのあげている項目に該当すれば、返還の義務が一定期間免除される制度です。猶予制度を利用するには、猶予を希望する2~3か月前にJASSOホームページ上にある「奨学金返還期限猶予願」を提出する必要があります。この「奨学金返還期限猶予願」は1年ごとに願い出る必要があります。

猶予制度の願い出の事由には、「傷病」、「生活保護受給中」、「入学準備中」、「在学中」、「失業中」、「経済困難」、「その他」があります。
この中で「入学準備中」、「失業中」、「経済困難」、「災害」以外の「その他」に当たるものは最大5年間猶予されます。
経済困難事由として認められるのは、給与所得者の場合、年間収入金額(税込)300万円以下の方です。また、給与所得者以外の場合は年間収入金額(必要経費等控除後)が200万円以下の方です。ただし、この額はあくまで目安であり、収入・所得金額が目安以下の金額でも、本人の世帯人数や収入支出の状況によっては、猶予が認められない場合もあります。
「傷病」、「生活保護受給中」、「その他」の項目に当たる「災害」、「在学中」はその事由が続く限り猶予されます。

ただし、猶予制度を申請したとしても、「入学準備中」、「失業中」、「経済困難」、「災害」以外の「その他」に該当する方は猶予期間が10年間過ぎてしまえば、例えどんなに困難であっても返還をしなくてなりません。3か月以上延滞してしまえば、ブラックリスト化されてしまいます。

その他の猶予の条件、手続方法についてはこちらを参照ください。
日本学生支援機構「返還期限猶予」

Q5.未回収の奨学金ってどれくらいあるの?

2008年度の段階で未返済の奨学金は723億円あります。メディアではよく2386億円という数字が使われますが、これは「延滞債権額」、すなわち延滞者がこのまま奨学金の返還をしなかった場合の合計額であり、実際に返されていない額ではありません。

日本学生支援機構(JASSO)の調べで、延滞者の84.2%が年収300万円未満であることがわかっています。年収300万円未満の返還者はJASSOが認定する「返還困難な者」であり、このような返還者を対象に返還の猶予制度が設けられています(「返還猶予をするにはどうすれば良いの?」を参照)。つまり、未返済額の723億円のうち、経済的な理由で返還できない額は少なくとも609億円あります。

経済的な理由で延滞している返還者はどのような回収強化のための措置をしても返すことができないと考えれば、ブラックリスト化も含めて様々な返済催促のための措置で回収できる額は114億円です。これはおよそ4兆円のJASSOの資金運用額に比べると0.3%にも満たない割合です。

しかし、奨学金の返還率は第一種で96.9%、第二種で96.0%(2014年度分)と非常に高く、民間の金融機関に比べてはるかに高い水準の返還率であると評価する専門家もいます。

参考HP
SMBC日興証券「独立行政法人 日本学生支援機構」のご紹介(2015年12月22日掲載)

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