トライアル雇用とは、労働者と会社が3ヶ月以内の有期雇用契約を結び、契約期間が終了したときに会社が採用したい場合には正社員として採用するという制度です。ここで注意すべきことは、トライアル雇用が終了した時点で必ずしも正社員として採用しなくてもよいということです。この採用についての強制はなく、まったく自由になっています。以下、この制度のメリットとデメリットを見ていきましょう。
トライアル雇用は使用者からすると、「試して」から使えることに加え国から補助金が支給されるため導入にたくさんの利点があります。これに対し雇われる若者にとっては、「試し」で雇われる可能性が出ることと、その機会の就労の体験ができるというメリットがあります。しかもこれは通常の非正規雇用よりも意義のあるものだと考えられます。特にトライアル雇用の期間中には若者にとっても意義のある就労経験となるように、就労の内容を使用者は工夫することになっているのです。これは国家ら補助金を受けながら「試す」ことへの会社の責任です。
ただし、トライアル雇用はやはり「お試し」なので、期間の終了と同時に解雇されてしまうこともあります。ところが、ここでは解雇する場合の明確な基準などが存在せずよくわからないままに「門前払い」されてしまう危険性もぬぐえません。また、就労体験の内容も国が報告書の提出は義務付けているものの、実際に有意義な取り組みが行われているどうかは審査されていないのが実情です。
トライアル雇用を利用する上では、第一に上記のメリット・デメリットをしっかりと把握する必要があります。第二に、具体的に何が学べるのか、どのような場合に不採用になるのかについてしっかり質問・確認したうえで選択することが望まれます。そして第三に、もしこの「トライアル」に失敗したとしても、明確な脱落の基準が示されていないのですから、決して「落胆しないこと」が大切です。就職活動に失敗した上トライアル雇用でも切られてしまったということになると、気がめいることもあるでしょう。しかし、この制度はあくまでも若者の「評価制度」としてはあいまいで、はっきりしないものです。このトライアルの機会を利用するとしてもそれへの失敗は過度に気にしすぎないようにすることが大切だと思われます。